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星暦3017年。己が魂の生み出す力を活用し文化の発展を続ける新世界オフィー・レイニアは大炎上する戦火の坩堝と化していた。

大海を挟み東に広がる「帝国」と、西に広がる「アルダリア王国」は、数十年にも渡って凄惨な「大戦」を吟じ続けていた。しかし此度、アルダリアの総力を注ぎ込んだ精鋭部隊が帝国の首都、帝都・桜花へ攻め込んだことにより膠着状態にあった趨勢は一気に変調を見せることになる。
後に「帝都決戦」と呼ばれることになるこの局面において、帝国が誇る二人の勇者「死の白閃」と「霹靂の英雄」の見せた活躍により、アルダリアは大打撃を受けることとなり、同時期に発生した主君の失脚・代替わりという件も相まり長きに渡り続いた戦争は帝国の指導者とアルダリアの新王の間で執り行われた和睦の元、ついに終戦という結果に幕を閉じたのだ。

だが時は流れ、星暦3025年。ようやく訪れた平和を享受していたはずの人々に、再び免れない未曾有の危機が訪れる。


枯魄病――レイニアに生を営む人類にとってソレは致命的な毒。

魂を蝕み、喰らい、そして粉砕する未知の病原。治療の術を見つけられぬまま、緩やかに。しかし確実に大陸全土へ広がり続ける病毒の前に諸国は焦燥を募らせるばかりであった。
 

しかしある時、帝国の秘境に存在していた超古代遺跡の深奥に眠る「日月神示」と呼ばれる巨大な電子投射体<ホログラム>に記された予言とでも呼ぶべき記述の解読に成功した時、ついにレイニアの人々はそこへ一縷の希望を見出すこととなる。

即ち、最果てのシェオル――誰からも忘れ去られていた霧深き列島にこそ、枯魄病を蔓延させる元凶があるのだという。
それは神話にて語られる光と闇の英雄譚の残影たる七柱の魔神。かつて星を滅ぼしかけた終焉の使徒――彼奴らを滅したその時にこそ、枯魄病の根絶が叶うのだと信じ、此処に東に西、かつて血を流し合ったアルダリアと帝国は結託した。

両国限らず全国から召喚された英傑により編成された複合遠征隊。その第二陣に、帝国の若き士官でありかつて帝都を救った霹靂の英雄ことシロガネ・セイギの姿もあった。
国のため、人々のため、友のために。彼は揺るぎなき信念を背負い、頼もしい仲間たちと共にシェオルへと足を踏み入れることになるが……。

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――――捻りなく、順当に、一切の誤りを知らずに彼は世界を救うだろう。
完成する救世譚は無謬の光を放ち欠片も朽ちず翳り無し。

浄光の徒は嘲笑い、弾かれた救世主は切に憂う。

優しい白菊の華は修羅と化した紅雷を抱き止め支え続ける。

ああ全て、全て消えゆく夢の残骸でしかないのなら。

立ち向かおう、残酷な真実に。抗おう、救いがたい現実に。

さあ、真なる蒼き雷光を掴まんがため。吼えろ電刃、運命の紅雷よ。此処に英雄譚は幕開けた。

在るべき真実は未だ遠く、神話を準えるが如く赫怒の剣が果ての奈落を燃やし尽くす。

奮い立て、白銀の正義。今度こそ必ず、全てを守り抜くために……。

​STORY

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